
フロスト加工を手がける職人のところへ行ってきました。
今年4月に同業のフロスト加工職人が廃業し、その仕事の一部が回ってきたそうです。一時はかなり忙しかったものの、今は落ち着いているとのことでした。
職人が減ると、仕事は増えるのか
同業者が廃業すると、残った職人の仕事が増えると喜ぶ人もいます。確かに、短い期間で見ればそういうこともあるでしょう。
ただ、それは「業界全体の仕事が減らない」ことが前提です。職人が減れば、できる加工の種類や対応できる量も減ります。発注する側が、加工方法や容器そのものを変えるきっかけになるかもしれません。
一人の職人に仕事が集まることと、業界全体の仕事が増えることは、まったく別の話です。
むしろ、頼める職人が複数いるからこそ、メーカーは安心して加工ガラス瓶を採用できる面があります。目先の受注が増えても、加工先が減り続ければ、長い目では市場を小さくしてしまう。そう考えると、同業者の廃業は喜べることではありません。
安定した仕事を持つ管瓶工場
その後、管瓶の工場にも顔を出しました。こちらは医薬品メーカーとのつながりがあり、バイアル瓶の仕事がコンスタントに動いているそうです。比較的安定した様子でした。
中国製ガラス瓶との価格競争
管瓶工場では、中国メーカーがライバルになっているという話も聞きました。価格では、とても太刀打ちできないとのことです。
管瓶とは分野が異なりますが、大手化粧品メーカーの香水瓶も、ほとんどが中国製に切り替わったという話がありました。ガラス職人たちからも、最近は中国製ガラス瓶の品質がかなり高くなっていると聞きます。
管瓶の規格は国際規格です。共通の規格で製品が比較される以上、価格や品質の競争は国境を越えます。日本製というだけで選ばれる時代ではなくなってきているのでしょう。
そうなると、価格で競うだけではなく、安定した供給や細かな対応、長く取引を続けられることにも意味が出てきます。ただ、そうした強みを保つためにも、工場や職人の仕事が途切れないことが必要です。
今はガラス瓶工場が閉鎖され、従来の製品が廃盤になることも増えています。技術や設備があっても、仕事が続かなければ工場を維持するのは簡単ではありません。
その点、医療関係の瓶を継続して手がけることは、厳しい時期をしのぐ現実的な方法の一つだと思います。もちろん医療系なら何でも安泰という話ではありませんが、需要が続く仕事を持つことの大切さを感じました。
今回の二つの現場を見て改めて思ったのは、ガラス瓶の技術を残すには、職人だけでなく、仕事が続く仕組みも残さなければならないということです。
発注する側も、価格や納期だけでなく、将来も頼める加工先があるかを考える必要があるのでしょう。地味なことですが、そうした積み重ねが、ガラス瓶の選択肢を守ることにつながると思います。

