東静容器工業の工場が埼玉県吉川市にあった当時、加飾方法として、ホットスタンプ(箔押し)が多かったです。
ある日、松下電器から東静グループのミリオンウェーブズ社に真空蒸着の話がありました。
松下電器(Panasonic)製のノートパソコン Let’s noteの天板、筐体は真空蒸着によりメタリック仕上げが行われていました。
Let’s noteについても、中国人(Lenovo)に譲渡する協議が続けられていました。しかし中国人はメタリック仕上げ(真空蒸着)のみが欲しくて、他はいらないとのことでした。結局、Let’s noteは譲渡されず、今に至ります。
中国人が欲しがった真空蒸着を行っていたのが、津田工業株式会社(埼玉県)です。当時は主に車載部品の蒸着を行っていましたが、松下電器のLet’s noteの天板の蒸着も行っていました。
真空蒸着とはアルミを気化し、塗料を混ぜて吹き付ける技術です。金ピカも金マットも可能であり、曲面にも加飾が可能です。
従来は、アルミを金型でプレス加工してかぶせ、表面をアルマイト加工する金冠が主流でした。しかし金型職人、プレス職人の廃業が始まっていました。
真空蒸着は、金型が不要であり、治具のみ用意すれば良く、金冠に替わる技術でもありました。
ミリオンウェーブズ社はその真空蒸着を東静容器工業に伝え、工場担当者が津田工業と協議し、化粧品容器に真空蒸着を応用したところ、上手く行きました。
その東静グループでは、この真空蒸着を使い、金蒸着キャップやディフューザーを作りました。
この話の元は、松下電器(Panasonic)でした。
東静創業家は、敬虔な浅草観音様の信者でした。創業家二代目 高野眞治氏は毎月初めの早朝に浅草寺に通っていました。
東静容器(昭和37年設立)の所在地(駒形一丁目)は、駒形堂(浅草寺ご本尊が現れたところ)の近くでした。古くは浅草寺の境内地であったようで、お祭りの際には〆が張られていました。創業家二代目 高野眞治氏は浅草寺で参拝した後、よく会社の近所を掃除していました。
浅草寺雷門と大提灯は、松下電器の松下幸之助氏が病気回復の御礼に寄贈したものです。
匠東静も駒形堂、東静容器(昭和37年設立)の所在地の近くにあります。人力車がたまに目の前を通りますが、先日、松下幸之助氏の話をしていました。
縁とは不思議なものです。
マルエムのスポイド金冠を作っている職人が、東静容器創業家が新興宗教にはまっていて、会社に新興宗教のポスターを張っていたと言っていました。事実と異なります。
多額の借金で精神衰弱してしまった様で、気の毒な職人老人でした。