匠ぶろぐ

興亜硝子の納期遅延、音信不通

 興亜硝子株式会社というガラスメーカーが近くにあります。シャネル、ティオール、SKⅡなどの瓶を出しています。

 ここのところ、充填工場、化粧品メーカー、容器メーカー等から、興亜硝子の瓶が調達できなくなり、連絡もつかないと相談が続きました。

 東静創業家初代の高野良平氏が、東静容器工業に作業場を作って呼び寄せ、育てたガラス職人が今も健在です。その職人は今も、高野良平氏と作ったガラス瓶を大事に持っています。
 東静と関わった職人達によれば、初代の高野良平氏は職人に資金を出し、作業場を用意し、仕事を与え、社員として雇用するのではなく、職人と企業連携を組んでいました。これが東静グループの始まりであり、その職人はミリオンウェーブズ、匠東静の先輩企業でした。

 その高野良平氏が育てた職人の一社が今、興亜硝子の下請けとなり、興亜硝子を支えています。

 匠東静からその職人に連絡をとり、瓶が調達できずに困っている興亜硝子の顧客の為に、瓶の調達を頼みました。その職人は快く受けてくれましたが、興亜硝子は約半年間、放置しました。その後、瓶を出してくれることになりました。
 しかし東静グループが関与していると知った途端、撤回しました。
 東静容器工業の閉鎖後、東静グループは大手の案件を興亜硝子に持ち込みましたが、印刷会社を巻き込みトラブルとなりました。それまで興亜硝子の瓶を仕入販売していましたが、取扱いも止め、以後、疎遠となっていました。

 興亜硝子に対し。せめて困っている興亜硝子の顧客に直接瓶を出すように要請しました。しかし興亜硝子はそれも拒否しました。

 一体、興亜硝子で何が起こっているのでしょうか?
 
 興亜硝子の担当者は、グローバル営業本部営業推進グループ主任の佐々木由美でした。あちこちで興亜硝子と音信不通となっていますが同様に佐々木が担当していました。
 佐々木と直接面会し、事情を確認したところ、役員連中の指示でした。つまり経営方針です。

 瓶販売の撤回について、興亜硝子の役員が職人のところに謝罪に来ました。
 高野良平氏が育てた職人が興亜硝子の案件を拒否したならば、興亜硝子は大手の案件を受けられず、倒れる状況にあります。

 興亜硝子は元々、戦前、国の働きかけ、国策により、ガラス瓶メーカーを束ね、リーダー的にガラス瓶を製造していました。
 戦後、ガラス瓶製造は国策ではなくなりましたが、興亜硝子はその後も職人達を使い続けました。
 物価上がり、製造原価が上がりましたが、職人達は困窮しましたが、興亜硝子は値上げを認めませんでした。値上げを要求した職人には、仕事が回されませんでした。
 職人達の中には40年以上、値上げが認められず、苦しみ続け、廃業したところもありました。興亜硝子と値上げ交渉するのが嫌で止めたところもありました。また興亜硝子と喧嘩し、仕事が回されなくなった職人もいました。

 興亜硝子はそのリーダー的地位を濫用し、職人から搾取し続けました。職人は生活がままならず、後継者も出来ず、粗末な職場で廃業していきました。
 大勢の職人達の恨み、呪いをかぶっているのが今の興亜硝子です。
 東静創業家初代の高野良平氏とは真逆でした。

 その興亜硝子はどのような運命を辿るのでしょうか?

 興亜硝子は、大船工場を閉鎖しました。その後、中国に進出しました。しかし中国から追い出され、中国の生産拠点を失いました。それで供給能力を大きく落しました。これは公開されていないのでは?

 アルミプレス、金冠職人は後継者ができず、廃業を決めました。金型とプレス技術を中国に継承しました。シャネル等の案件が金冠職人の弟子のいる中国に移り、興亜硝子から離れました。

 印刷について、興亜硝子は窯を維持できなくなり、セラミック印刷を撤退しました。
 印刷職人達は、興亜硝子を拒絶し、ほぼ斎藤工芸硝子株式会社(江戸川区)一社のみが下請けをする状況に落ちています。
 これは値上げを認めず、印刷職人を叩き続けた報いではないでしょうか?

 東静グループの先輩職人も興亜硝子から値上げが認められず、苦しんでいました。職人連名で値上げ要請しましたが、認めてくれないとのことでした。

 匠東静は興亜硝子に対し、3倍の価格で職人に発注していることを伝え、職人達の値上げ要請を認めるよう求めました。その後、職人から値上げが認められたと聞きました。

 下職から搾取を続け、殿様商売をしていたことにより、足元が崩れてダルマ落しとなりました。搾取した職人の技術が中国に移り、案件を失い、さらに中国から追い出され、生産拠点を失いました。生産能力を落し、職人からも愛想をつかされました。

 瓶は7ヶ月待ち、セラミック印刷はできなくなり、1000万円以上かけてキャップを作ったのに瓶がなく、商品を製造販売できない。。。
 これまで使ってきた瓶、充填する瓶が納品されない。。。
 音信不通。。。

 困っている興亜硝子の顧客が大勢います。
 興亜硝子は、大手を優先し、中小零細を切り捨てました。

 残る大手の案件(シャネル等)の多くが中国に移ったとき、今いる職人が下請けを拒絶したとき、興亜硝子はどうなりますか?

 シャネルも大手も、このようなメーカーの瓶を使って、ブランドを維持できますか?

 政治が悪く、税金搾取、物価高により、製造業全体が瀕死です。しかしこのような時こそ、本性が現れるものです。

日記

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