匠ぶろぐ

今後の容器調達はどうしたら良いか?

 容器業界で最小ロットと言えば3000でした。今でも職人の間でその名残が残っています。

 約20年前に小ロット販売を考え、各容器メーカーにケース単位、箱単位で出荷してもらえるよう頼みました。まだアマゾンも楽天もない頃です。東静は業界で1、2位を争っていた時代もあったので知名度があり、各容器メーカーも協力してくれました。その知名度の元にあったのは職人達、外注先のサポートです。東静創業家初代が高野商店を設立後、浅草を拠点にして、江戸下町の職人達の生活を守っていました。土地を提供したり、金に困っている職人に無利息で融資したり、職人達を助けていました。東静さんには足を向けて寝られない、という言葉もつい最近まで聞かれました。

 不況な時代、大量に商品開発して在庫できない時代には小ロット販売は向いていました。何か社会のためになれる面白いサービスをやろう、とよく話し合いました。そういう考えで作られたサービスは上手く行ったものです。しかし資産を減らして行く創業家には焦りが見られ、初代の心意気を忘れられ、売上、利益のみに固執して行きました。

 小ロット販売を進めていく中で一番問題になったのは、容器メーカーの廃業、製品の生産終了廃盤です。大型の倒産がある取り扱える容器が一気に減ります。それを補うように、新しい容器メーカーと交渉し、新しい容器を増やして行きます。15年位には限界が見えていました。国内で生産設備を維持することが困難なのです。消費税、固定資産税などのコストが大きく、工場を維持することが困難なわけです。全てアウトソーシング、外注にして、職人や下請けを叩いて経費削減する、という方法を我々は選択しませんでした。周囲に迷惑をかける前に辞める、として吉川工場を閉鎖しました。建物を壊し、土地の土を入れる替えるなどしたならば、工場の土地は二束三文でした。

 中国に生産拠点を移して容器製造を行う方向を取りました。プライドを捨てて、規格容器で先行していた竹本容器の後を追いかけたわけです。中国広東省にある神湾泉摸具製品有限公司の芹沢泉(中国帰化人)の工場に生産拠点を移しました。その頃、東静容器(葛飾)社長の植岡秀紹(芹沢氏の子息)は神湾泉摸具製品有限公司にいました。植岡秀紹は愛媛の工業専門学校を出て、水商売等をかじった後、中国広東省の神湾泉摸具製品有限公司で仕事をしていました。植岡家自体が中国帰化人(2世3世?部落?)らしく、もちろん中国語は堪能でした。
 同名の東静容器株式会社を設立し、容器製造に直接関わっていた役員社員が中国に行きました。フジテレビの女子アナ接待が問題になっていますが、芹沢氏の令嬢によればそのような接待は当たり前とのことで、役員社員皆、特別な接待を受けました。それで神湾泉摸具製品有限公司が東静の協力工場となった経緯があります。。。元々、中国広東省の神湾泉摸具製品有限公司には容器製造のノウハウがなく、植岡秀紹が品質管理に失敗して逃げてしまい、それで東静は中国撤退しました。この辺のことは、中里加工所の中里、OAKSの荒川らが詳しいです。
 いずれ中国で規格容器が製造され、日本で販売されるようになることは15年以上前から分かっていました。ハニトラでパートナー選びに失敗し、中国撤退したのでした。
 荒川はOAKS立ち上げ後、これらの問題をクリアし、中国生産体制を確立しました。

 中国のAlibabaが立ち上がり、電子部品の通販を始めました。事業が拡大し、中国共産党と対立するまで成長し、取り扱い商品は容器まで拡大しました。
(つづく)

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