いくらコストがかかっても良いから日本製のブリキ缶を作ってもらいたい、という問い合わせがたまにあります。
台湾茶葉、紅茶、お茶等のビジネスが成功している企業からの相談です。
江戸東京では駄菓子、煎餅などの入れ物としてブリキ缶が使われ、ブリキ缶を作る職人達がいました。
東静グループでも、ブリキ缶職人を束ねていたメーカーから、紅茶缶などのブリキ缶を調達し、販売してきました。
円高になり、安い中国缶が使われるようになった後、日本の缶職人は仕事が減りました。それにより金型職人が廃業し、職人を束ねるメーカーが廃業し、独立した職人達の廃業が続いています。最近、当社近所にあった創業100年以上の老舗の缶メーカーも廃業しました。
円高が終わり、中国から缶が調達できなくなり、日本製ブリキ缶への回帰が起こりました。職人達によれば、日本に戻ってきても、もう職人がいないよ、とのことでした。
既に金型職人が廃業し、金型制作、金型修正ができなくなっているので、日本製の新製品は作れません。金型のある既存の製品しか作れず、それも金型が壊れたり、高齢の職人が廃業した段階で生産終了、廃盤となっています。
職人との共存をはかり、高くても日本製を使うべきでした。
自社の利益のみを追及し、安い中国缶を使ったため、日本の職人を廃業に追い込んでしまいました。中国缶の調達が困難となったところで入れ物が調達できず、連鎖的に事業撤退、廃業に追い込まれる事態となりました。因果応報です。
職人によれば、既存のブリキ缶も安定供給が保障できず、小ロット、単発の案件で使用して下さいとのことです。